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院長・川村正英の


肩の痛みの原因は五十肩? 2014年12月2日

 肩が痛いので「五十肩ではないか」と患者さんが受診する場合があります。通常、首の付け根から肩甲骨部、腕の付け根までの広い範囲を肩という人が多いと思いますが、五十肩は腕の付け根にある肩関節に原因があって肩の痛みを来す代表的疾患です。一方、首を支える頸椎の疾患でも頸部のみならず、肩甲骨部など肩の痛みを来すことがよくあります。
 一般的には、後ろへ反らすなどの首を動かす動作で肩に痛みが生じる場合は頸椎に原因があり、腕を上げたり手を背中へ回したりしたときに痛みを生じるのは肩関節に原因があることが多いです。しかし、肩の痛みの原因となる部位が頸椎か、肩関節かが分かりにくい症例や、双方に問題がある場合もあります。
 肩の痛みを来す肩関節の疾患としては、五十肩以外に石灰沈着性腱板炎、腱板断裂、変形性関節症などが挙げられ、頸椎では頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症などがあります。また、肩甲骨や鎖骨、胸郭出口の疾患、肋骨や胸椎に問題がある場合も見られます。さらには内臓から肩の痛みを来すケースもあります。
 これらの疾患は局所および神経学的所見に加え、エックス線、磁気共鳴画像装置(MRI)などを適宜用いて診断し、それぞれの病態に応じて薬や注射、リハビリなどで治療をします。腕の筋力低下が高度の症例や手の細かい動作が困難になったとき、歩行に支障を来すとき、あるいは肩の腱板が切れたときなどは手術治療を要す場合もあります。
 五十肩では早期の治療で長期にわたる痛みを回避できる症例もあります。一概に肩の痛みといっても原因はさまざまですので、肩の痛みでお悩みの場合は整形外科受診をお勧めします。
 
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