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院長・川村正英の


膝疾患と水 2014年4月8日

 膝の痛みでお悩みの方も多いと思います。膝関節内にある病変の調子が悪くなると痛みとともに関節液が増加してきます。これが膝に水がたまる状態で、関節の袋の内張りである滑膜が関節液を過剰に産生しています。
 膝の痛みを来す疾患で最も多く見られる変形性膝関節症では、淡黄色のきれいな水がたまりますが、リウマチや痛風、偽痛風といった炎症が強い疾患では関節液が濁ってきます。細菌が関節内に入ることにより生じる化膿性関節炎の関節液は最も濁りが強く、けがによる骨折、ひびや靱帯損傷などの場合は関節内の傷から出血して水ではなく血がたまります。
 関節液の性状は膝の痛みを来した疾患の診断に有用であり、関節液を検査することによって診断が確定する場合もあります。原疾患により対処法も異なるので、初診時に水がある程度たまった状態であれば、関節液を観察するためにも注射器で膝の水を抜いてみることが多いです。水を抜いても癖になるわけではありませんが、いったん抜いても原因となる疾患の状態が改善しないと再度たまることになります。しかし、多量の関節液が貯留している場合はそれ自体が痛みの原因となりますので、膝に水が多くたまっている場合は抜いた方がよいと考えます。
 注射の針を刺したままにして、同時にヒアルロン酸などの関節注射も施行できます。薬物療法やリハビリ、減量などで膝の調子が良くなってくると、水が徐々に少なくなってくることが期待できます。
 変形性膝関節症やリウマチでは変形が進む前の方が治療効果が上がりますので、膝の痛みでお悩みの方は早期に整形外科受診をお勧めします。
 
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