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ひびと骨折 2006年9月4日

 骨にひびが入った経験がある方も少なくないと思います。患者さんの中にはひびと聞いて、折れてなくて良かったと安心する方もいますが、ひびはずれのない骨折ですので、骨折に対する治療が必要となります。
 ずれのある骨折と比べるとひびはエックス線で見えにくい場合があります。例えば肋骨のひびは、肺との重なりもあって、エックス線でなかなか見えません。ずれのないひびの状態からずれてきて初めてエックス線で分かるようになることが多々あります。あるいは、ずれのないまま治ってきて、ひびの周囲に新たな骨ができることによって、肋骨にひびが入っていたのが分かるようになる場合もあります。従って、肋骨を痛めた場合は初期にエックス線で骨折やひびが見えなくても安心はできません。また、初回エックス線で肋骨の骨折が判明していても周囲にさらに数本ひびが入っている場合もあります。
 ひびは通常の骨折に比べて治りにくいのではないかと患者さんに問われることもあります。ひびはずれの大きい骨折やバラバラの骨折とは違って、折れるときに骨にかかった外力は比較的小さいと思われます。従って骨折部周囲の骨膜や筋肉の損傷が少なく、そこからの骨への血流が温存されますので、骨折部が治ろうとする力は十分あります。またの付け根の大腿骨頸部にひびが入った場合、ひびに対する治療は順調に行くことが期待できますが、ひびが分からず痛みを我慢して歩行を続け、ひびがずれてくると治療に難渋する場合もあります。ひびの状態でも骨がつきにくい例外的な部位もありますが、通常はひびに対して適切な固定を一定期間行えば、多少のずれを生じることはあっても骨はくっついてきます。
 ひびも骨折ですので、機能障害が残存しないように整形外科専門医での治療をお勧めしま。

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