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院長・川村正英の


骨粗しょう症薬物療法の継続 2023年8月1日

 骨折を契機として骨粗しょう症治療を開始する患者さんが多いですが、その薬物療法を継続できない人が少なくありません。脊椎圧迫骨折を生じ、当院で骨粗しょう症薬物療法を行った166例について、骨折後2年以上経過した時点での治療状況について2019年に調査したことがあります。その結果、117例が薬物療法を中断しており、その継続状況は不良でした。
 さらに、脊椎圧迫骨折後5年以上経過した42例における新たな圧迫骨折の有無を20年に調査しました。42例中、新たな圧迫骨折がなかったのは20例で、新規圧迫骨折を生じていたのは22例でした。過半数に新たな骨折が発生しており、さらに、その内の11例では複数箇所に新規骨折を来していました。新規骨折の発生は骨粗しょう症治療を中止した患者さんに多い傾向がありました。
 骨折の痛みが遠のくと薬物療法の必要性が実感できなくなるのでしょうが、新規骨折を生じないためには骨粗しょう症治療の継続が重要です。
 
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