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院長・川村正英の


腰痛は遺伝する? 2014年8月5日

 腰痛の患者さんに「親も腰痛持ちだったが、腰痛は遺伝するのか?」と尋ねられることがあります。腰椎の軟骨である椎間板は加齢により変性を生じますが、その発症に関与する遺伝子が発見されています。従って、椎間板が年齢的な変化を起こしやすいかどうかは親の体質を受け継ぐと思われ、椎間板の変性が進むとヘルニアも起こりやすくなります。また、骨格は身長の高い低いがあるように遺伝的要因が大きいので、腰椎における神経の通り道である脊柱管の広さは、親のそれに似ることが考えられます。脊柱管が狭い骨格を引き継ぐと、椎間板が脊柱管に軽度膨隆したり、靱帯の肥厚が少し起こったりしても脊柱管を通る神経が圧迫されやすくなります。その結果、下肢の痛み、しびれ、筋力低下や腰痛といった症状が生じることになります。
 体形は腰椎への影響が少なからずあり、特に肥満は腰への負担が大きくなります。おなかに肉が付くと腰の前方に常時おもりを付けて動いているようなものですから、腰椎の弯曲に対する悪影響も出てきます。育ってきた環境として、食事の量や好みなど食生活が親に似ることはよくありますし、体をよく動かす一家とあまり動かさない家族では太りやすさや腰部腹部の筋肉量にも差が出てきます。親と同じ仕事やスポーツで腰痛が起こりやすくなる場合もあります。
 以上のように、腰痛の発症に関与する腰椎の骨格や椎間板には遺伝的要因が認められます。しかし、肥満や腰部腹部の筋力低下は食生活の改善や運動で防げる後天的な要因も大きいので、常日頃から生活習慣に注意して腰痛の発症を防止することが重要です。
 
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