手足の捻挫は「関節が正常な可動域を超えた動きを強制され、骨と骨をつなぐ関節包や靱帯などの関節支持組織に損傷が加わった状態」です。従って、靱帯損傷の軽症例も含まれますが、靱帯損傷が重度となれば「膝関節内側側副靱帯損傷」など靱帯損傷の診断名がつくことになります。捻挫により損傷した関節には痛み、腫れ、動きの制限が見られ、靱帯の損傷が高度であれば関節の不安定性を来します。受傷後の処置として患部の冷却、圧迫、固定を行います。軽症例では湿布と包帯の固定を行うことが多いですが、重症になると、より厳密な固定が必要になります。
捻挫の治癒過程として損傷部位には肉芽という組織ができて、さらにはこれが瘢痕組織に変化して患部が修復されていきます。肉芽ができると患部に腫れた感じを来しますが、これは数週間から1カ月以上続く場合もあります。肉芽や瘢痕組織は周囲の組織と癒着しやすいこと、また、損傷を受けていない関節包や靱帯と比べると瘢痕組織の弾力性が乏しいことから、捻挫後の関節は可動域の制限を来しやすくなります。受傷後の急性期は痛みや腫れのため関節が動かしにくいですが、急性期を過ぎても肉芽や瘢痕のため関節の屈伸がしにくくなることが少なくありません。突き指をした後になかなか腫れが引かず、指が十分に曲げられないことを経験した方も多いと思います。
しかし、関節が固くなるからといって受傷後の急性期に患部を安静にせずに動かしていると、ゆるい関節になる場合もあります。損傷が強ければ一定期間の固定を行った後に関節を動かすことも必要となりますので、手足の捻挫を受傷した場合は整形外科専門医受診をお勧めします。
|