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大腿骨頚部骨折について 2007年6月4日

 転倒や事故により太ももから股の付け根が痛くなった時は大腿骨頸部骨折の可能性があります。交通外傷などにより若い人に起こる場合もありますが、多くは骨粗しょう症のある高齢者が転倒して受傷します。
 厳密には関節包という股関節の袋の中の骨折である大腿骨頸部骨折と関節包の外で折れる大腿骨転子部骨折に分けられますが、いずれの場合も多くは手術が必要に なります。仮に骨折部のずれが少なくても、骨折部を安静にするためにはベッド上で足を動かさずに臥床し続けなければなりません。骨がある程度くっつくまで1カ月以上臥床すると、高齢者では床ずれ、肺炎、筋力低下、せん妄などの合併症を生じやすいので、手術をして立ったり、歩いたりできるように早期にリハビリテーションを開始しようという考えです。
 大腿骨頸部は骨折が治る段階での骨の形成が旺盛ではなく骨のつきがよい部位とは言えませんし、骨折後に大腿骨頭への血流が悪くなり骨が腐る骨頭壊死という合 併症を来すこともあります。従って高齢者の場合は折れた骨頭部を取り除き、人工の骨頭を挿入する手術をする場合もあります。一方、転子部骨折では骨折部がバラバラで整復をしても骨折部の安定性が悪い場合は手術が容易ではないこともあります。
骨粗しょう症が重症な場合は転んでもないのに股が痛くなってきてレントゲンを撮ってみると折れていたというケースもあります。ずれの少ない場合は痛みを我慢しながら歩ける場合もあります。高齢者の骨折は寝たきりの原因の上位にランクされますので、急に大腿や股の痛みを生じた場合は速やかに整形外科専門医を受診して治療をお受けください。
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