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院長・川村正英の


骨粗しょう症治療の基本的な考え方 2023年7月3日

 骨粗しょう症における最大の目的は骨折の予防です。平均寿命に対して健康寿命という概念があり、日常生活に制限のない期間、自立した生活を送れる期間をいいます。厚生労働省の発表によると2016年には平均寿命と健康寿命の差が男性で8・8年、女性で12・4年でした。つまり大ざっぱに言うと10年程度は要介護状態になるというデータです。この健康寿命を延ばすことが大事で、骨粗しょう症に関しては生活機能の低下を生じる大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折を防止することが特に重視されています。
 食事療法、運動療法を行っても骨粗しょう症になってしまったら、薬物療法が必要になります。骨吸収抑制剤、骨形成促進剤など骨粗しょう症の薬剤は作用機序により幾種類かありますが、骨粗しょう症のタイプ、重症度に応じて治療薬を選択します。腎機能低下により使用が制限される薬剤が多く、骨吸収抑制剤の長期使用時には顎の骨や大腿骨に合併症が生じることがあるので注意が必要です。
 
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